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株式会社クニエ

Executive Vice Presidentである勝俣 利光氏は、「真のコンサルティングを続ける少数精鋭の会社であり続けたい」と語る。
自身のキャリア、クニエの特徴や今後の展望について話をうかがった。

KPMGの日本法人立ち上げに携わり、コンサルティング会社の経営者視点をもてた

大森

これまでのキャリアのターニングポイントを教えてください。

勝俣氏

KPMGコンサルティングの日本法人立ち上げに携わったことがターニングポイントです。当時、おもな外資系コンサルティングファームの日本法人は立ち上げが終わっていて、1,000~2,000人の規模。そこへKPMGが日本へ上陸し、ゼロから立ち上げるという状況でした。

先輩もいなければ営業ルートもない状況なのでリスクはあります。安定的に成長したい人は選ばないかもしれませんが、私は面白そうだと感じました。
上司は外国人で、日本での法人立ち上げ経験はありませんでした。 マネージャが私を含めて4人、シニアコンサルが2名というところからのスタートです。

そのため、マネージャ4名で試行錯誤しながら会社の仕組みを一から考えて構築し、ソリューションを生み出すところまで幅広く担当することができました。マネージャでありながら、コンサルティング会社の経営者の視点で仕事ができました。

また、日本での実績がなく企業からの信用がない状態ですから、プロジェクトひとつ受注するのにも苦労しながら、営業ルートを切り開いていきました。この経験がクニエの設立にもつながっていきます。

大森

クニエの立ち上げの経緯も教えていただけますか?

勝俣氏

当時、私はベリングポイント(現PWC)のNo.2となり、常務を務めていました。ベリングポイントは大手コンサルファームの一角となり、組織としても完成されました。No.2になると本国への報告などの仕事が多くなる一方で、日本からの経営上の提案はなかなか通らない。アクティブではない状況がつまらなくなってしまったのです。

そんな頃に、NTTグループから「グループにコンサルティング会社を設立するから立ち上げをやってくれないか」という話がきました。コンサルティング会社の立ち上げは、KPMGとベリングポイントで2度の経験があります。しかも、「次に仕事をするなら外国のしばりのない日本企業がいい」とも考えていたので、親会社がNTTという日本企業であることもいい環境だと思いました。

あるべき理想のコンサル会社をつくるチャンスだと考え、引き受けることにしました。

大森

勝俣さんの考えるコンサルティングとしてあるべき理想とは、どのようなものですか?

勝俣氏

コンサルティングとは社会貢献であると考えています。社会貢献といってもボランティアという意味合いではなく、真のコンサルティングを提供することです。

常に変化する社会の中で、企業は翻弄され続け、自ら変革していかなければ存続できません。そのときに求められるのが知見をもった外部の力、つまりコンサルです。変化の多い時代ほどコンサルのニーズは高まります。

しかし、コンサルティング会社がビジネスの側面を強めすぎると、儲かるビジネスを拡大しようという発想になってしまい、規模拡大や儲かるソリューションへシフトする。お客さん本位ではなくなると、時として不必要なソリューションを提案することにも継がりかねない。

クニエは、そうしたコンサル業界の流れと逆回転し、ピュアなコンサルティングを続ける少数精鋭の会社にしたいと考えました。

先端的で実験的であり、上流のプロジェクトが多く、専門性を高められる環境

大森

コンサルティングのあるべき姿を追求した結果、どのような特徴が生まれましたか?

勝俣氏

クニエが携わるプロジェクトの約7割は、先端的で実験的、上流工程がゆえに規模は小さく、研究予算程度の規模のプロジェクトも多いです。こうしたプロジェクトは先端であることで前例も少なく苦労もありますが、最先端の知識に触れられ、コンサルタントの専門性が上がります。

具体的には、自動車業界のお客様なら、次世代の車づくりや街づくりの戦略を一緒に考え、設計開発や生産など車づくりのコアな工程のコンサルティングにも携わります。日本の大企業の変革に、IT導入という形ではなく、企業変革の本質的なコンサルティングを行っています。

スペシャリティをもつコンサルタントの育成は時間もかかりますが、コンサルタントの質の高さが、他社との差別化につながっています。実際、お客さまから値引き要請を受けたり、コンペになったりしたことはほとんどありません。

大森

業績は非常に好調だと聞いています。また、新卒を1年かけてトレーニングされるなど、コンサルタントの教育にも力を入れていますよね。

勝俣氏

新卒・中途関わりなく教育に力を入れています。シニアコンサルタント、マネージャなどへのプロモーション要件として年100時間程度のトレーニングを毎年続けて受けることが必須となっているのです。

コンサルタントにとっては仕事をしながらMBAの教育を受けているような負担感はありますが、しっかり勉強できる会社です。当社が利益至上主義ではないからこそ、教育にもここまで力を注げます。 教育の徹底によりコンサルタントの退職率も激減しました。

特徴は評価制度にもあり、社員は一人として売上などの数値目標をもっていません。定量評価ではなく、仕事の質や専門性などの定性評価をしています。

大森

定量評価をしないことで、社員がチャレンジを避けるなど、マイナスに働くことはないのでしょうか?

勝俣氏

結論としてはありません。なぜなら、コンサルタントはプライドがある人が多く、評価されたい、上に行きたいという想いが強いので、怠ける方向に行くことがあまりないからです。
また、当社の特徴的な仕組みとして、スタッフはどのリーダーのチームに入るかを自分で決められます。
具体的には、10~20名ほどの小チーム制をとり、スタッフは自由に異動希望を出せます。希望することに対して上司の許可はいらず、建設的な理由ならば異動できるので、年間1割ほどのスタッフが異動します。

この仕組みでは、部下がリーダーの評価をすることになります。古いことばかりやっている、あるいはパワハラ傾向のあるリーダーのチームからは人がどんどん離れていきます。
逆に人を育てるのがうまいリーダーや新しいことをやっているリーダーの下には人が集まります。また20名以上の人員になったチームは強制的にチームを分割するため、優秀なリーダーのチームにいると、スタッフがリーダーを経験できるチャンスが早く巡ってきます。
こうした仕組みによって、パワハラの傾向のあるリーダーは面目を失って辞め、スタッフがモチベーション高く働けます。

こうした仕組みを幾重にも設定していることで、KPIによる管理をしなくても、コンサルタントが成長に取り組める風土を醸成しています。

スタッフがどのリーダーと働くかを決められるため、健全なチーム運営ができる

大森

会社として完成されてきているため、勝俣さんがまた新しいチャレンジをしたくなったりはしないのですか?

勝俣氏

今は海外展開が面白いと感じています。日本からコンサルタントが海外に行き、クニエの海外法人を設立しています。海外でゼロからコンサル会社を立ち上げていくという状況なので、KPMGの日本法人立ち上げのときと似ています。

現在は中国で4拠点を設立しました。中国では10拠点まで増やすことを考えていています。東南アジアでは全域に展開済みです。新型コロナウイルスの影響で少し遅れていますが、次はアメリカでの拠点展開も計画しています。

実際に外資系コンサルファームに勤めた経験があるからこそ思うのですが、グローバルで活躍したい人は外資系ファームではなく、海外進出している日系ファームに行くべきです。
なぜなら、外資系ファームの日本法人に入社すると、本社から見ると日本ローカルの採用者なので、海外で仕事する機会はあまり多くないのです。

逆に、グローバルに進出している日系企業のほうが、自分たちのノウハウをもってグローバルに活躍できるチャンスがあります。実際に私が一緒に仕事をした製造会社の方々はほとんどが海外駐在経験がありました。

大森

海外展開を積極的に行っている今こそ、クニエのコンサルティングノウハウをグローバルに伝えていけるチャンスがあるということですね。

勝俣氏

これまで日本のコンサルティング業界ではアメリカなどの外資系コンサルティングファームがアメリカのノウハウを日本に持ち込むことで成り立ってきました。当社はその逆のチャレンジをしていきたい。

たとえば、アメリカの自動車産業は元気がない状況で、日本の自動車業界の最先端の改革事例を知りたいというニーズが非常に高いです。クニエには専門性の高いノウハウがあります。日本のコンサルタントが経験したノウハウを世界に伝えていくことに使命感を感じる人には非常に面白いタイミングだと思います。

現在の日本のコンサルティング業界の状況を見ていると、業界にいるコンサルタントの80~90%はIT導入に携わっているでしょう。一方で、本質的なコンサルティングに携われる機会が減っています。

しかし、当社はグループ会社にシステム会社があるため、ピュアなコンサルティングしか行いません。専門性の高いコンサルタントに成長したい人にはまたとない環境だと思います。

大森

だからこそ、本質的なコンサルティングを極めたい方が御社に集まっているのですね。

左:弊社大森 右:クニエ勝俣氏

構成・編集:久保佳那
撮影:赤松洋太

※本記事の内容はすべて取材当時のものです。